もしそうなら、とても嬉しい!

 あたしなんて何も出来ない半人間だと思ってたけれど、ちゃんと皆を守ることができたのね!?

 どうやったのかは自分でも全然記憶に無いから、次も出来るかはまったく自信ないけど!

「雫、立てるか?」

 ヴァニスに促されて立ち上がってみたら、膝関節が痛くない。

 てっきり折れていると思うほど強い痛みがあったのに、嘘みたいに消えている。

 ひょっとしたら水の力で回復したのかもしれない。

「行くぞ!」

 かなりのダメージを受けたはずのヴァニスも、軽やかに走り出した。

 あたしも後を追って走り出し、ジン達の元へと向かう。

 ……。

 番人の力は凄まじい。

 精霊の能力全てを操る事が可能だと以前に聞いたけれど、まさかここまでとは思わなかった。

 ジンやイフリートの攻撃も、まるで歯が立たなかった。

 ノームの防御能力も、どこまで通用するか分からない。

 倒れて動けない様子からして、彼らのダメージは相当だろう。

 あたし達の力で、本当に始祖の神の復活を止める事ができるのだろうか?

 もしもこのまま、番人にまるで敵わなかったら……。

 あたしは首を横に振り、心の中の不安感を無理に横へ押しやる。

 弱気になったらだめだわ。何があったところで、今さら逃げ出すわけにはいかない。

 世界の破壊が嫌なら、ここで戦って、絶対に番人に勝つしかないんだから。

「……!?」

 前を走るヴァニスから、強い動揺と緊張が伝わった。

 何事かと前方を確認するあたしにも緊張が走る。

 番人が、倒れているジン達のすぐそばに近寄り、動けない彼らをじっと見下ろしていた。