―― パラリ……。

 なにかが、崩れ落ちるような小さな音がした。

 次いでポロポロと、硬質な音が聞こえてくる。

 あたしは、真っ黒に焼け焦げている部分に目を凝らした。

 ドス黒一辺倒で凹凸感がよく分からないのだけれど、どうやら土が、小山のように盛り上がっている。

 それはまるで炭の山のように完全に焼け焦げていて、たちまち脆く崩れ落ちた。

 そしてその中から……

「……ジン―――――!!」

 重なるように倒れているジン達の姿が現れた。

 ノームが土の力で守ってくれたんだわ! 良かった!良かった!良かった!

 ノームがいてくれて良かったー!!

 歓喜の涙を流すあたしに、ヴァニスが言う。

「雫よ、お前のお陰だ」

「え? あたし? あたしは何もしていないわ」

 ……というか、何もできなかったんだけれど。

「いや、お前の力だ。距離があるとはいえ、あの熱風にさらされては、余達も無事では済まないはずなのに」

 そういえば、もの凄い熱風で全身が痛かった。

 でも見たところ、あたしもヴァニスもどこも火傷をしている様子は無い。

「確かにお前の水の守護の力を感じた。きっと精霊達にもその加護があったはずだ」

「……」

「土の精霊の力だけでは、きっと持ちこたえられなかったであろう。雫、よくやったぞ」

 ジン達が炎に巻かれている間、あたしは半分失神状態で、ひたすら祈り続けていた。

 お願いだからジン達を助けてって。

 じゃあ、救いを求めるあたしの意思が、無意識に水の力を発動させていたってこと?