あたしの顔から血の気が引いた。……まさかあの巨大な炎をジン達に!?

「ジン! イフリート! ノーム! 逃げて! このままじゃ殺されてしまう! お願い早く! 早く逃げて! 逃げてえぇー!」

 あたしはパニック状態になり、泣き叫んだ。

 あたしの叫びも虚しく、巨大な炎がジン達を目掛けて一気に落下する。

 その熱風がここまで届き、あたしの全身を痛めつけた。

 ……うあぁっ! あ、熱いぃ!

 逃げ出すすべの無いジン達は全員、目の前で業火に飲み込まれてしまう。

「嫌あぁぁぁ――――!!」

 紅蓮の炎が悪魔のように、愛するものを焼き尽くしていく。

 灼熱。目に突き刺さるような紅。天に届くほどの炎の中にジンがいる!!

 その信じられない悲惨な光景を前に脳が拒絶反応を起こし、あたしは意識を失いかけた。

 助けて! 全てが……全てが焼き尽くされてしまう!!

 半分意識を失った状態のあたしの目の前で、炎は徐々に勢いを弱めていった。

 少しずつ、少しずつ、萎むように小さくなっていく。

「ジン、ジン、ジン……」

 あたしは呆けたように、ただ彼の名を呟くしかない。

 いつの間にか風は収まって、そして炎も完全に消滅する。

 ジン達のいた部分の地面は、なにもかも、全てがただ黒く焼き尽くされてしまっていた。

 何ひとつ、遺されてはいないほど……。

 何、ひとつ……。