銀の精霊・森の狂王・時々、邪神

「そっちの都合で勝手に産んだり殺されたりしてたら、こっちはたまんないわ! そんな理屈は通らない! 無謀よ!」

「まさしく。そんな理屈は世界の摂理に反する」

 番人はあたしの言葉にあっさり同意した。

 あんたねぇ! それが分かってるんなら今すぐやめなさいよ!

 確信犯か! 一番始末に負えない犯罪者タイプだわ!

「だから始祖の神は、この世界を創造した後で、永い眠りについたのだ」

「……眠り? 始祖の神はいま、眠っているの?」

「正当な理由によって、破壊が開始されるまでの眠りだ」

「破壊のための正当な理由?……あ」

『傲慢、嫉妬、憤怒、怠惰、強欲、暴食、色欲』

 これらの大罪が復活の為の条件。そう言っていた。

「禍々しい悪しきもので汚染されてしまえば、世界の存続など到底不可能」

「……」

「存続できぬ世界など、破壊するより他にないではないか」

 番人は満足げに、うっとりと語り続ける。

「破壊が定められた世界で、人と精霊と神が、皆揃って始祖の神の復活を願う。これこそが我が主復活の条件なのだ」

 あたしは全身から力が抜ける思いだった。

 なん、てこと。そういう、ことか。

 全て思い当たる。全て当てはまった。これでようやく、頭の中で全部の事象が組み立てられた。