銀の精霊・森の狂王・時々、邪神

「な……なんでそんな事するのよ!?」

 なんで!? なんで世界を破壊するわけ!?

 ここまで出来上がった世界を、わざわざ破壊しなきゃならない理由はなに!?

「理由? 理由など無い」

「理由も無いのに、破壊なんかされちゃたまんないわよ!」

「あえて言うなら、それがあのお方の存在意義だからだ」

「そ、存在意義?」

「あのお方は、創造する存在。その役目を果たす為には、既存の物を破壊せねば次の創造が叶わぬ」

「……」

「だからひたすらに創造し、ひたすらに破壊する。その繰り返しだけが、あのお方の存在意義だ」

「あ……あ……」

「そして、その意義を全うさせる為に、わたしは世に存在する」

「あんまりよ!」

 次を造りたいから、もうこれは壊すって事!?

 そんなに何かを作りたいんなら、どっか隅っこで造ってればいいじゃないの!

 世界は広いし土地もあるんだから、好きなように造ればいいわよ!

「それなら邪魔しないから、どうぞ勝手に造るなり壊すなりしてちょうだい!」

「それは叶わぬ」

「なんでよ!?」

「あのお方は『始祖の神』。完全なる無からの創造でなければならぬ」

 ならぬって……そんな勝手な事ばかり言わないでよ!