銀の精霊・森の狂王・時々、邪神

 言わないで。言わないで。お願いだからもうそれ以上何も……

「ただお前は、しょせん人間なんだよ雫」

 言葉の刃が、心臓に突き刺さった。

 電流が流れるように、全身を痛みが駆け巡る。

『しょせん人間』

 それは……それはある意味あたしにとって、何より惨い言葉だった。

 今までのあたしの思い、願い、感情、行動、その全てを、たったひと言で否定するのと同じ言葉だった。

「お前はしょせん、人間なんだ。その事実と真実を変える事は不可能だったんだよ」

 頭がジリジリ痺れる。

 なんなんだろう? この、耳に飛び込んでくる言葉達は。

 この猛烈に、どうしようもなく、終焉と絶望を臭わせる言葉達は。

 ねぇジン、よく分からないよ。

 あたしにとっての事実は、そして真実は……。

「だから、これがオレ達の今生の別れだ。雫」

 …………。

 パカリと、あたしの口が開いた。

 やっと開いたけど、でも、何も言えなかった。

 ただ息を吸って……無意味に、吐いた。

「さらばだ雫。お前はお前の言う通り自分で選んだ。人間の側を」

 わずかにノドが、声とも言えない音を出した。

そして目の前が真っ白になり、ほんの一瞬、気を失った。