銀の精霊・森の狂王・時々、邪神

「あたしは城に戻るわ」

「ダメだと言ってるだろう!? お前は、オレ達と砂漠へ行かないつもりなのか!?」

「話が済んだら帰ってくるって言ってるじゃないの!」

「帰ってこられるわけないだろう!?」

「決め付けないで! あたしの事を決め付けないでよ!」

 あたしは思いっきり、掴まれている手をブンブン振った。

 こんなにもこんなにも大事な事なのよ!? だったら自分で決めさせてよ!

 誰かに決め付けられた決断じゃなく、あたしにも、人間にも、自分で決断させて!

 それって当たり前な権利でしょう!? あたし別に、ムチャクチャな要求してないわよね!?

「こんなに一所懸命説明してるのに、どうしてあたしの気持ちを分かってくれないの!?」

「ここまで言っても、お前は人間の元へ戻ると言うんだな……」

「だから、ちゃんと帰ってくるって言ってるでしょ!?」

「ここまで、こんなにまで言葉を尽くしても……」

「……ジン?」

「お前はオレの……オレ達精霊の気持ちを、分かってはくれないんだな」

「……」

 まるでやまびこの様に、あたしが考えていた事とまったく同じ同じ言葉が跳ね返ってきて、あたしはうろたえた。

 ジンの手が、あたしの手を放した。

 今まであんなに強く握り締めていた手を急に放されて、不安を感じる。

「もういい。分かった」

 静かな声が、あたしの戸惑いと不安をさらに増殖させる。