銀の精霊・森の狂王・時々、邪神

 滅亡なんかよりよっぽど良いじゃない!

 単純に、普通に、良い方を選択しようって気にならないの!?

「ならないな」

 ジンの声は、あくまでも淡々としている。

「お前の考えは、唯一でも最善でも無い」

「じゃあ、どんな案があるって言うの!?」

「人間が滅亡する方が世界の為になる。その方が絶対に、最良の解決への近道だ」

 ……だから!
 争いよりも、平和の方がいいって何度も何度も言ってるのに!

 許し合って、仲直りして、協力し合う事は美しい事でしょ!?

「これって変!? あたしの言う事って何か間違ってる!?」

「いや、お前は間違っていない。正しい事を言ってる」

「だったら協力しなさいよ!」

 いい加減にしてよもう!

 もう、もう、もう完全に腹が立った!!

 ジンは反対の為の反対をしているだけなんだわ!

 駄々っ子みたいに我がままを言い続ける、分からずやよ!

「あたしの言う事が間違ってないなら、正しいなら、正しい事をしなさいよ!」

「正しいだけなんだよ、お前の言葉は。ただ正しいだけで、分かっていないんだ」

 ジンはあたしにそう言った。

 相変わらず冷たくて素っ気無いけれど、ひどく冷静な態度で。