銀の精霊・森の狂王・時々、邪神

「きっとヴァニスがうまくやってくれる。優秀な王様なのよ、ヴァニスって」

「……」

「生き残った神や精霊達も協力してくれるでしょ? できるだけ人間に被害が及ばないように」

 人間と神と精霊と、協力し合って世界と未来を作っていくのよ。

 素晴らしい事だと思わない?

 道行く先に希望に向かって、一歩踏み出す時なのよ! 未来のために!

「さぁ、だから行きましょう! みんなでヴァニスの所へ!」

「まっぴらゴメンだ」

 ……。

 え? 

「冗談じゃない。まっぴらゴメンだって言ったのさ」

 頭から冷水をかけられた気がした。

 それほどに、冷え切った声だった。

 明るい希望に湧いていた心が急速に冷えて、心臓だけがドクドクと嫌な速度で早まった。

「……どうしてえ!?」

 あたしは声を振り絞る。

 なんで!?

 なんで、どこまでもそうやって拒絶するの!?

 あたしの言う事、ちゃんと聞こえてるよね!? 耳が遠いわけじゃないよね!?