銀の精霊・森の狂王・時々、邪神

「雫、全ての犠牲は必要なんだ。世界の存続の為に」

「分からない!」

「なぁ、雫。お前は話し合えと言ったな? 話し合いで何が変わるんだ? たとえば……」

 人間は他種を食らい、犠牲にして繁栄してきた。

 他種から見れば、受け入れ難い事さ。

 ……それで?

 どうする? 話し合うか?

「話し合えば人間は、これから何も食わずに生きていける生物に変身するのか?」

「そ、れは……」

「あぁ、そんな事は到底無理だ。変わらないんだよ。話し合ったところで何も変わらない」

『何かの犠牲があってこそ何かを得られる』といった根源は、絶対に変わらない。

 それを認めて受け入れなければ、世界は成り立たないのに、人間は犠牲を、代償を払うのを拒んだ。

 そして変わらず恩恵だけは求め続けた。

 そのせいで世界を継続させるためのバランスが崩れてしまった。

 だから、報いを受ける。

 世界のバランスを崩した人間は、世界から間も無く排除される。

 まるで自浄作用のように。

 そして世界は、ゆっくりと再生していく。治癒していく。

 わかるだろう?

 どうしても必要なんだ。世界存続の為の犠牲はな。