銀の精霊・森の狂王・時々、邪神

 どこかへ去っていった始祖の神、か……。

 ヴァニスの、神達に対する姿勢は完璧に容赦がない。徹底的に根絶するつもりなんだわ。

 そんな事されてしまったら取り返しがつかない!

 核ミサイルのスイッチを押すのに等しい行為よ!

 決定的に世界に、そして種族間に修復不能な亀裂が生じてしまう! なんとか回避しないと!

 でも、なにをどうすれば回避できるのかしら?

 始祖の神様って、いったいどこへ行ったの? 一仕事終えて自宅でのんびり待機ってわけでもないだろう。

 そもそも、本当にまだ消滅して無いって確証はあるの? どうすれば再び世界に現れてくれる?

 神の領域の事なんて、いくら考えても分かりようがないわ。

 だからヴァニスもあんなに考え込んでいたんだろうし。

「……あ。そうか」

 あたしは、ふと思い立った。

 分からなかったら聞けばいいんだわ。いるじゃないの。ここに神様がひとり。

「モネグロス、教えて」

 あたしは、グッタリして地面に座り込んでいるモネグロスの顔を覗き込んだ。

 モネグロスは閉じいてた両目を、ものすごく気だるそうに開ける。

 そして口を開けようとして、辛そうに呻きながらまた閉じた。

 きっともうしゃべる事すら辛いんだろう。……ごめんねモネグロス。でもとても大事なことなの。

「始祖の神って、まだ存在してるの?」

「……始祖の神は別格。創生そのものです。消滅するといった類の存在ではありません……」

「どこにいるの? どうして消えたの?」

「役目を終えたからでしょう。どこにいるかは私も知りません……」