銀の精霊・森の狂王・時々、邪神

 今度はジンが絶句する番だった。

 あたしはその表情を見て、逆に気分が高揚する。

「精霊達だって、災害を起こして、人間の命や生活基盤を破壊し続けてきたんでしょう!?」

「な……!?」

「だから人間は、仕方なく行動を起こしたのよ!」

 自分達を守るためには、それしかなかったんだもの。

 そう、これできっとジン達にも分かってもらえるわ。

 人間側だけが加害者なわけじゃない。だからこそ話し合う余地がある。

 みんなが話し合わなきゃならないんだって。

「災害って……何だよ、それは」

 ジンの表情は強張っていた。

「自然には、自然の摂理がある。人間はそれを、オレ達を『害』と断じるんだな」

「ち、違う!」

「オレ達は、できる限り人間達に譲歩してきたんだぞ? それが神達の望みだったから」

「だから、それにも原因が……」

「自然に生きるオレ達が、自然の摂理を曲げて、無事だったと思うか?」

「……え?」

「起こって当然の事象を、無理矢理捻じ曲げるんだぞ? こっちにだって、どれほど被害が出ると思っているんだよ?」

「……」

「それでも、ずっと文句も言わずに耐え続けてきたんだ。それを『害』か。……ハハ」

 ジンは顔を歪めて吐き捨てた。

「世界に生きる者が、その摂理を『害』呼ばわりし、全て自分の利益になるように動かそうとする」

 仕方なかった。

 こっちには事情がある。

 だから理解しろ。

「……たいしたもんだよ。人間様は」