……でも、火の精霊と大地の精霊の恋かぁ。

 年齢差以前の問題で、異種同士よね。

 精霊の世界の恋愛事情はよく知らないけど、相性というか、組み合わせは良くない気がする。

 感情のコントロールの苦手なイフリートのせいで、事あるごとにノームが燃やされてそうだし。

 ……なんて、人の事いってる場合じゃない、か。

 あたしとジンなんて、異種族もいいとこだわ。人間と精霊だもの。

 たぶん、お父さんもお母さんも弟達も友人も、誰も認めてはくれないだろうな。

 だって、ペットのわんこを抱きしめて

『あたし達愛し合ってるんです! どうして認めてくれないの!?』

 って叫んでるのと似たようなことだもの。

 そもそも、向こうの世界に帰れるのかどうかも定かではないし。

 帰れたとして、帰るのかどうかも定かではない。

 そんなあたしのナーバスな感情が、近づいてきた人影を見て、一気に吹っ飛んだ。

「モネグロス!?」

「雫……無事だったのですね? 良かった。ノームも……」

「モネグロスどうしたの!? 大丈夫!?」

 モネグロスは、完全に弱りきり、やつれ果ててしまっている。

 砂漠の黄金の砂のような金髪も輝きが失われ、見る影も無い。

 立っているのも辛いらしく、近くの樹の幹に倒れるようにもたれ掛かっている。

「ジン、モネグロスはどうしちゃったの!?」

 弱ってはいたけども、ここまでじゃ無かったでしょう!?

 なんでこんなにまで、悲惨な状況になっちゃったのよ!?

「ここは、神への畏敬の念を喪失した人間の世界だ。今のモネグロスにとっては、過酷過ぎる」