銀の精霊・森の狂王・時々、邪神

 神や精霊。不思議な生き物。

 この異世界には、メルヘンなものばかり存在してる。

 でもここは現実の世界で、パラダイスじゃない。彼らはおとぎ話の登場人物じゃない。

 思い通りにならない事が、堂々まかり通る普通の世界だ。

 奇麗事や理想論が通用する理想郷には、なりえない。

 それが可能なんなら、あっちの世界はとっくの昔に極楽浄土よ。

 それでも……

「理想を求めちゃだめなの? そのために努力することは無意味?」

「……」

「常識だと思われてた事が引っくり返るなんて、山ほどあるわ。あなただって常識に立ち向かったでしょう?」

 手足を縮こませるな。目を閉じるな。

 暗闇に紛れていても、きっと道はそこある。

 解決の道が理想にしかないなら、理想を現実にするしかない。

 その意思を、『不可能だ』と笑うの?

 ハッキリ言って、それが一番邪魔なのよ。

 暗いからって、周りを見ようともしないで、道は無いと決め付けるのがね。

 たとえ暗がりの中でも、手探りで道を探す。

 それがどんなに不恰好に見えたって、自分にできる事をする。そう自分で決めたから。