銀の精霊・森の狂王・時々、邪神

 それは共通の摂理。
 あちらの世界も、野性の世界は生きるか死ぬかの日々だ。

 しかも年寄りや脆弱な子どもに、あえて狙いを定めて襲い掛かる。

 それは確かに残酷だと思う。

 じゃあ、野生動物は皆、犯罪者?

 自然界は最低な世界? 動物たちの行為は、許しがたい犯罪?

 ……いいえ。
 罪も罰も、簡単には断じれないのだと、あたしはあの時知った。

 人間の社会だって同じ事だ。生物学的な意味は違うけど、人間同士で共食いしているようなもの。

 日々、勝者は生まれ、敗者が生まれる。

 それは当然の理だし、あたし達はそれを無意識に納得している。

 それが許されぬというのなら……世界は、成り立たない。

 ヴァニスは、そんな世界の理の中で戦いを仕掛けたんだ。

 苦難に満ちていた人間の日々を勝利に導くために、人間の種族の王として。