「我が愛する国民達よ!」
思い悩むあたしの隣で、ヴァニスが張りのある声を上げた。
「余は約束しよう! 神や精霊達に従う日々からの開放を!」
人々はヴァニスの言葉に合わせ、拍手喝采を送る。
「もはや不必要に恐れ戦き、服従する必要は無いのだ! そのためにも余は戦い続けよう!」
バサリと勢い良くマントを翻し、凛とした表情でヴァニスは叫んだ。
「父王と母君、ふたりの兄君達の尊い死に誓って!」
一瞬、その場がシーンと静まり返り、やがて広場中のあちこちから啜り泣く声が聞こえてきた。
みんな国王達の死を悼んで泣いている。
こんなにも国民にその死を惜しまれているなんてずいぶんと人気があった王家なのね。
ヴァニスの支持が高いのも、それに由来しているのかもしれない。
「我ら人間達による、新しい世界の幕開けだ!」
信頼する国王の雄々しい姿に、国民は一斉に熱狂した。
「ヴァニス王様バンザ――イ!!」
「新世界バンザ――イ!!」
ラッパや太鼓や笛の音。華々しい歓喜の声援。
四方に手を振り、その身に歓声を受けるヴァニス王。
その隣で、顔を強張らせて立ち尽くすあたしは、この晴れやかな場所で心を曇らせ、うろたえる。
この立ち位置は、明らかに人間側の位置だ。あたしは人間側の立場として、公然とここにいる事になる。
今さら、この場から去る事もできない。
ジンの顔を思い浮かべながら、あたしは何もできずにただ、うろたえるだけだった。
思い悩むあたしの隣で、ヴァニスが張りのある声を上げた。
「余は約束しよう! 神や精霊達に従う日々からの開放を!」
人々はヴァニスの言葉に合わせ、拍手喝采を送る。
「もはや不必要に恐れ戦き、服従する必要は無いのだ! そのためにも余は戦い続けよう!」
バサリと勢い良くマントを翻し、凛とした表情でヴァニスは叫んだ。
「父王と母君、ふたりの兄君達の尊い死に誓って!」
一瞬、その場がシーンと静まり返り、やがて広場中のあちこちから啜り泣く声が聞こえてきた。
みんな国王達の死を悼んで泣いている。
こんなにも国民にその死を惜しまれているなんてずいぶんと人気があった王家なのね。
ヴァニスの支持が高いのも、それに由来しているのかもしれない。
「我ら人間達による、新しい世界の幕開けだ!」
信頼する国王の雄々しい姿に、国民は一斉に熱狂した。
「ヴァニス王様バンザ――イ!!」
「新世界バンザ――イ!!」
ラッパや太鼓や笛の音。華々しい歓喜の声援。
四方に手を振り、その身に歓声を受けるヴァニス王。
その隣で、顔を強張らせて立ち尽くすあたしは、この晴れやかな場所で心を曇らせ、うろたえる。
この立ち位置は、明らかに人間側の位置だ。あたしは人間側の立場として、公然とここにいる事になる。
今さら、この場から去る事もできない。
ジンの顔を思い浮かべながら、あたしは何もできずにただ、うろたえるだけだった。


