銀の精霊・森の狂王・時々、邪神

 どんな力を持っていたとしても、神は特別でも偉大でもない。

 人間と鳥との関係のように。

 だから、人間が神に対して卑屈になる必要はないって言いたいの?

 そりゃモネグロスを見てる分には、ほんとに偉大かどうかは疑問の余地の残るところだけど。

「あたしは卑屈になってるつもりは無いわ。それに神達だって、別に偉ぶってふんぞり返ってるわけでもないわよ」

「ほう?」

 モネグロスの『偉大さ』については疑問だけど、でも彼の性格の良さだけは保証できる。

 絶対に奢り高ぶったり、人間を見下したりなんかしない。モネグロスはそんな性悪じゃない。

「モネグロスは、あなたのように拷問や公開処刑なんてしない」

「そうだな。それは確かにその通りだ」

「国王だからって圧政を強いたり、神達を滅ぼそうとする権利なんてないわ」

「権利、か……」

「自分達は平等だと主張するなら、なおのことそうでしょう? 共にこの世界に生きていくべき、愛すべき存在よ。だからあなたの行為は、間違っている」

 ヴァニスにとって、いかにも不愉快で耳障りの悪い発言だろう。

 今まできっと誰ひとりとして、王陛下の行いを批判するような発言をする人間なんていなかったはず。

 それでもヴァニスは、顔色ひとつ変えない。

 強い視線もそのまま、まっすぐ正々堂々とあたしを見つめている。

 そしてあたしは、また疑問を深める。

 なぜ? と。