銀の精霊・森の狂王・時々、邪神

「始祖の神?」

「うむ。この世界は神々によって作られたのは知っているか?」

「ええ」

「その全ての神々を生み出した、神の母。この世界の真の始祖だ」

 世界の、真の始祖。
 そんな神様がいたのね。初めて聞いたわ。

「ここは、始祖の神が最初に降り立った場所だと言われている」

「今、その神様はどこにいるの?」

「もういない」

「いない?」

「消えたのだ。神達を生み出した後に忽然と」

 忽然と消えてしまった? 産みっぱなしで?

 へえ? 言っちゃなんだけど、かなり神様っぽくない神様ね。

 産むだけ産んでほったらかしなんて、よく聞くバカ親みたい。

「神というものは、お前が思うほどに特別な存在ではない」

 石柱を見つめたまま、ヴァニスは淡々と話し続ける。

「我ら人間と少しだけ異なる能力を持った、同じ世界に生息する存在。ただそれだけだ」

『自分は神よりも偉大な存在である』

 そう豪語して憚らない男。そして神を排除しようとしてる人間。

 いかにも、そんな男に相応しい発言ね。

 傲慢そのもので、身の程を知らない、勘違いな愚か者に相応しい発想だわ。