銀の精霊・森の狂王・時々、邪神

 ただでさえ美しい銀色の髪や瞳が、暗闇のなか焚き火の炎に照らされて、それはもう、言葉にできないほど幻想的に輝く。

 あたしは、うっとりと見惚れるばかりだ。

「綺麗。ジンって本当に綺麗ね」

「お前も美しい」

―― ドキン!

 突然言われたその言葉に、あたしはうろたえ、胸を高鳴らせながら息をのむ。

 じっとあたしを見つめているジンから、目が離せなくなってしまった。

 見惚れるような優しげな美貌で、ジンはあたしに向かって語り続ける。

「オレは今まで、人間を美しいと思った事は一度もなかった。でも、知った。雫、お前は特別だ」

「ジン……」

「お前は美しい」

 そんな事、ストレートに何の臆面も無く言われた事なんか、なくて。

 恥ずかしくて、でも、嬉しくて……。

「雫」

「あ、な、なに?」

「狂王の城まで、もうじきだ。だが城の中まで、オレはついては行けない」

「ええ」

「本当は一緒に行きたい。お前が心配でたまらないからな」

 ……あたしの事、そんなに心配してくれるのね。優しいジン。