銀の精霊・森の狂王・時々、邪神

 それからあたし達は、森の中をひたすら城へ向かって進みだした。

 えっちらおっちら、地道に徒歩で。

 しょうがないのよ。あたしが実体化を解けないから、何日もかかる道のりを歩くしかない。

 モネグロスなんて、実体化を解いて飛んだ方が絶対に負担が少ないのに。

 申し訳なくてショボくれるあたしを、皆が慰めてくれた。

「派手な動きは避けた方がいい。地道に歩いて行くぐらいで、ちょうどいいんだ」

「そうですよ雫。地道に行きましょう」

「ええ、じみちがいちばんです」

「我も、地道が良いと思慮する」

「……ありがとう」

 みんなあたしに気を使ってくれて、文句ひとつ言わず、黙々と歩いてくれる。

 あたしがこの作戦に必要不可欠ってのもあるんだろうけど、でもみんなの優しい気持ちが嬉しいわ。

 そして、同じくこの作戦に必要不可欠な存在が……。

「ところで、大きくなったりしてない? 土の精霊」

「は、はい。大丈夫です。ちいさいままです」

 そう。あたしの胸ポケットの中から、ちょこんと顔を覗かせている土の精霊。

 この子を服の中に隠して城に入らないといけないから、体が成長しちゃうとアウト。

 だから毎日あたしとモネグロスが、指で彼女の身長を測るのが日課だ。

「よし! 今日も育ってないわ!」

「ええ、無事に小さいままですね!」

「その調子よ、土の精霊!」

「偉いですよ! 頑張って、小さいままでいるのですよ!」

「は……い」