銀の精霊・森の狂王・時々、邪神

「やるわ」

 正直言って、怖いわ。すごく。

 それに責任も重大。あたしが失敗したら全てが水の泡になっちゃう。

 でもやるしかない。だから、やるわ。

 できる事をするって決めたんだもの。

 怖いからって逃げていられない。あたし自身のためにも。

「すまない雫。結局お前に、一番負担をかける事になるな」

「そんな事ないわ。みんな、自分ができる精一杯の事をすればいいだけよ」

 あたしは笑ってそう答えた。

「いいか? 無理だと判断したらすぐ中止しろよ?」

「ええ」

「そのまま一刻も早く城から脱出しろ。いいな?」

「分かったわ」

「本当に無理は禁物だぞ? 分かったな?」

「了解で――す」

 深刻そのもののジンに、わざと明るく返事を返す。

 すると、今まで暗い表情で黙っていたモネグロスが重々しく口を開いた。

「私は今、とても自分を恥じています」

「モネグロス?」

「私は、自分の愛しい君を救うために、何ひとつできる事が無いのですね。異世界の人間に危険な役割を押し付け、それを黙って見ているしかないとは……」

 モネグロスはガックリ俯いて、また黙り込んでしまった。

 すっかり気落ちしてしまっている。