「だから今、お前だけの道理で火の精霊の命を奪うな。あの時水の精霊は、『救うため』にお前に全てを受け継がせたんだ」

「ジン……」

「その力で、火の精霊を殺さないで欲しい」

 …………。

 うん。

「分かった」

 あたしは小さく頷いた。

 正直、心の底から納得しているわけじゃない。

 そんなのは理不尽だって憤る気持ちが、胸の奥底で燻っている。

「あたしは決して、火の精霊の行為を許したわけじゃないのよ?」

「ああ、わかってる」

「後できっちり火の精霊を追求するわよ?」

「わかったわかった」

「あたしはね、ただ、道理だとか価値観だとかを……」

「わかったから早くしろ!」

 ジンに話を遮られて、あたしはムッとした。

 まったくもう、男はいつだって女の話は半分しか聞こうとしないのよね。

 こっちはね、大切な事だからきちんと順を追って説明を……まぁ、いいわ。話しは雨を止めてから……。

 …………。

 あ……。

 あれ??

「ね、ねぇジン」

「なんだ?」

「この雨って……どうやって止めればいいの?」