銀の精霊・森の狂王・時々、邪神

 そうだ!あんたは仲間を殺した!

 懸命に仲間を守ろうとしていた、幼い少女のような土の精霊を!

 そしてあんたは、神の船を殺した!

 アグアさんと再び会える日を、焦がれ続けていた神の船を!

 よりにもよって、土の精霊の目の前で!

 あんたの……あんたのその力は……

 心優しい土の精霊を、

 宝物を夢に見続けていた神の船を、

 誇り高く、気高いジンを、

 水の精霊が希望を信じた未来を……

「ただ無残に、破壊するためだけの力か!!」

 意識が飛びそうになるほどの爆発的な怒りが、あたしの全身の細胞を沸き立たせる。

 あたしの中の水が怒り狂っている。

 この理不尽な悲劇を前に、沸騰しながら全身を駆け巡る。

 ……その時、輝く炎に照らされた眩いばかりの空間に、突如として影が射した。

 頭上高い天空にモクモクと暗雲がたちこめて、ゴゴゴ……と低く響く音が確かに聞こえる。

 たちまち青空は重苦しいドス黒さ覆われて、夜と見紛うほどの暗がりに染まった。

 地上の眩さと、天上の暗闇。

 ふたつの対比が、どんどん混じり合っていく。

―― ぽつり……。

 強烈な熱に覆われた地に落ちる、一滴の雫。

 雨だ。