銀の精霊・森の狂王・時々、邪神

 蔓はみるみるうちに螺旋状に全身に巻き付き、あたしもモネグロスも、その場にスッ転んでしまう。

「ごめんなさい。ごめんなさい」

 か弱い、少女のような声が聞こえた。

 いつの間にかすぐ後ろで、土の精霊が小柄な体をさらに縮めて恐縮している。

「ごめんなさい。こんな事してしまって、ごめんなさい」

 叱られた子どものように、シュンと縮こまっている少女の素直そうな目。柔らかそうな頬。小さな手足。

 近くで見ると、本当にまだ子どもなんだわ。この精霊って。

「これってあなたの仕業!?」

「はい、実はそうなんです」

「あっさり認めてないで、これを解きなさい!」

「ご、ごめんなさい。それはできないです。ごめんなさい」

 あたしに怒鳴られて、土の精霊はビクンと怯えて謝罪する。

「謝るくらいなら、初めからこんな事しないの!」

「ごめんなさい。でも、しかたないんです」

 土の精霊の両目に涙が盛り上がった。

「うらぎったら、仲間の土の精霊達は、みんな火の精霊達に燃やしつくされます。もしそうなったら、ぜんぶわたしの責任です」

 盛り上がった涙が、幼さの残る頬をぽろぽろ流れ落ちる。

 土の精霊はひっくひっくと声を上げて、悲しげに泣き出してしまった。

 そ、そうか。この子は仲間全員を人質に捕られてるのよね。

 確かにそれは気の毒だけど……。