銀の精霊・森の狂王・時々、邪神

 気丈に振舞っても、苦しそうに全身が小刻みに震えている。

 どうしよう! ただでさえ弱ったモネグロスの体が!

 焦るあたしの頭の中に、ジンの言葉が甦る。

『頼む! お前しかいないんだ! モネグロスをまかせられるのは……』

 そうだ。あたしはジンに頼まれたんだ。

 ジンから、大切なものを託されたんだ。

 モネグロスを守らなきゃ! 守ってもらってる場合じゃない!!

「モネグロス立てる!? ていうか立って!」

 あたしは立ち上がり、モネグロスの腕を掴んで、力任せに引っ張り上げた。

「ここから逃げるわよ! ほら早く立って! 早く!」

「か、体が、動きません……」

「このままアグアさんに会えなくなってもいいの!?」

「……アグア! 私の愛しいアグア!」

 モネグロスの顔に一気に生気が戻って、ヨロめきながらも、なんとか自分の力で立ち上がる。

 えらい! さすがはアグアさん効果抜群!

 モネグロスに肩を貸しながら、あたし達はなんとか移動し始めた。

 急いで! あの頭真っ赤っかな単細胞の意識が逸れている間に、早くここから逃げないと……!

―― シュルル……!

 突然、あたしとモネグロスの胸に緑色の紐が巻き付いた。

 なにこの紐!? これって植物の蔓だわ! なんで蔓が!?