銀の精霊・森の狂王・時々、邪神

「騙そうとしても無駄なり。お前のその服装を見れば、全て明白」

「服装!? この服がなんだってのよ!?」

「そのような、脚を丸出しにして男を誘う服装を見れば、明白」

「……」

 脚丸出しって、普通の膝丈の事務スカートでしょこれ!

 パンツがギリ見えのミニでもあるまいし、こんなんで商売女のレッテル貼るつもり!? この短絡思考が!

「隠し立てをしても無駄なり。娼婦よ」

「娼……だから違うって何度言えば分かるのよ!」

「その口を噤みなさい火の精霊よ! それ以上言うと許しませんよ!」

「そうだ! 雫を侮辱するな!」

 あたしの声に重なるように、モネグロスとジンも大声で加勢してくれた。

 そうよ! 言ってやってよこのバカ単細胞に!

「雫が娼婦で何がいけないのです!?」

「そうだ! 雫は元の世界で、娼婦として辛い人生を必死に生きてきたんだぞ!」

 ……。

 ……ちょっと、あんた達?

 応援の方向性が、激しくズレてる気がするんですけど?

「雫が懸命に隠そうとする事実をわざわざ暴き立てるなど、なんと無体な事を!」

「恥を知れ火の精霊!」

 火の精霊を怒鳴りつけたふたりが力強く微笑みながら、揃ってあたしの方を向いた。

「雫、安心なさい。我らはそんな事、とうに気付いていたのですよ」

「ああ、心配するな。そんな事まったく気にしちゃいないさ」

「たとえ娼婦であろうと、雫は我らの大切な仲間です!」

「その通りだ雫! たとえ娼婦であっても!」