銀の精霊・森の狂王・時々、邪神

「……お前の意思は、承知」

「そうか。そりゃ良かった」

「好きに神達と共に滅びるも良し」

 火の精霊は、相変わらず淡々とそんな言葉を放つ。

 なんて冷たいヤツなのかしら。火のくせに。

「じゃあ、お互い関知せずって事にしようぜ」

「承知。だが……」

 火の精霊の感情の無い目が、あたしに向けられた。

「その人間の女は、別」

「……え? あ、あたし?」

 あたしは別って、なにが別なのよ? なんだか嫌な予感がするんだけど。

「風の精霊は好きなようにすべし。だが、その人間は王に呼ばれている」

 いや、だから!
 あたしの方にはまったく用が無いんだって! そんな変態に!

「ご招待は、丁重にご辞退申し上げます!」

 あたしのキッパリした宣告に対し、負けずに火の精霊もキッパリ断言する。

「お前には、辞退する権利無し」

「そ、そんなの横暴よ!」

 狂王は確かに王様なんだろうけど、あたしは日本国民なんですからね! 応じる義務は無いわ!

 そんな国際常識も理解できない知能程度なの!?

「繰り返す。お前に、辞退する権利無し」

「あんたって、そこまで狂王の腰ぎんちゃくなの!? 情け無い男ね! 少しはジンの爪の垢でも煎じて飲んだら!?」

「自分が従うは、人間の王では無し。精霊の長なり」

「……はあ?」

「我は、長から命を下された。よって我は、王の腰ぎんちゃくでは無し」