ひとつ、ベッドの中

「あーゆーの重いんだよね。あ、でも北川さんからのお弁当だったら欲しかったな」

「社交辞令はいいって…」


気を利かせられなかったくせに気を使わせている気がする。


美味しそうにサンドイッチをほおばる阿部君の横顔を眺める。

凌ちゃん以外の男の人といるなんて不思議だ。




ふと。

一昨日の凌ちゃんを思い出す。


『行くなよ』


一瞬でもあたしを惑わせた言葉が、まだ離れない。


あれから凌ちゃんと喋ってないな……