ひとつ、ベッドの中

凌ちゃんの怒ってる姿を見たことがないから、その判断もつかないけれど。


明らかに様子が変だ。


「あ…でも行くかどうかはまだ決めてなくて……」


その視線から逃れるように髪の毛を耳に掛けながら、咄嗟にそんな言葉を口にすると、





「じゃあ行くなよ」




低くて冷たい声。

あたしとの距離を縮めて。


「―――ッ」


伸びて来た腕が、あたしのその手首をキツク握った。