機内では、イヤホンを付けたまま、腕組みをして目を瞑っていた凌ちゃん。




クラスごとに訪れた海岸でも。


どこか心ここにあらずで、一人風に吹かれていた。




話しかけたい。


でも、なんて……?



凌ちゃんは、あたしなんかより、ずっと心に深い傷を持っていたはず。


だけど、凌ちゃんは……




「詩織、何ボーっとしてんの?もう時間だよ」


千紗に肩を叩かれて我に返ると、凌ちゃんの姿はもうそこにはなくて。


バスに乗り込んでいたあとだった。