この間凌ちゃんと行ったあの映画も、香澄さんのチケットだったのかな…


ぼんやりとそんなことを想う。


「河村と二人で行って来いよ」


宏太君の目は、あたしを気遣ってくれているようにも見えた。


ついこの間まで凌ちゃんを想っていたあたしが、凌ちゃんとWデートなんて酷だと思ってくれたのだろう。


「宏太たちもどうせ後で見に行くなら、一緒に行けばいいじゃない」


香澄さんは引き下がらない。