ひとつ、ベッドの中

だから―…

だから―…



気づいたら走り出していた。



目に焼き付いた光景も、記憶も、残響も。

全てすべて消したい――……



「はぁ……」


いい加減走り疲れた。

嫌な思いを払拭させるまで走り続けるなんて格好のいいことはできなくて。




「北川さん……?」


顔をあげると、阿部君がいた。

白いエナメルを肩から掛けた制服姿で。