幸宏たちが出て行ったばかりの店の入口を見つめた。
なんで……
目の前で起こったことを受け入れたくなくて、わざと何も考えないようにしてぼんやりとした。
視線を感じて冬実に向き直ると、冬実は真面目な顔でこちらを見ていた。
わたしの手からそっとノートを抜き取ると、綺麗に整えられた眉を下げた。
「ごめん、我慢できなかった」
冬実は、気づいていたんだ。
幸宏がいることに。
わたしより勉強ができる冬実が、わたしに聞くことなんてないもん。
わたしはこくりと頷いて、器を引き寄せると震える手でスプーンを握った。
カラメルソースが、いつもより苦く感じた。



