恋の扉をこじあけろ



ここからじゃ女の子の顔はわからないけど、可愛い子なんだろう。


そうじゃなきゃ、あんな自分に自信があるような雰囲気、出せない。


スタイルだっていいし…


完璧に意識を幸宏たちのほうに持っていってしまっていると、休みもせずペンを走らせていた冬実が、ふいに顔をあげた。


「琴乃、ここわからないんだけど」


わたしの心臓が飛び上がった。


冬実の声は大きくて、幸宏たちにわたしの名前が聞こえてしまったかもしれない。

冬実が差し出してくるノートを受け取りながら、おそるおそる幸宏のほうを見た。



幸宏はまっすぐにこっちを見ていた。



今度は心臓が、一瞬止まってしまったような気がした。



わたしとしっかり目が合うと、幸宏は初め驚いたような顔をして、それからだんだんと苦い顔になり、舌打ちをした。


すぐに女の子の手をとって立たせると、わけがわからないでいる女の子を引っ張って店を出て行った。