恋の扉をこじあけろ


「マジ?じゃあ、お言葉に甘えてー」


冬実の言葉に、二人とも図々しく座ってきた。


気に食わないわたしは、握られていた手を振り払った。



なんで?

冬実はわたしがこういうの苦手って知ってるくせに。



無言で冬実をにらむと、冬実は首を横に振った。



なんなの?



「名前なんて言うの?」


隣に座ってきた男が聞いてきた。



「こ、琴乃…」


「琴乃ちゃんかー。かーわい」


そう言いながら、膝の上で固く握っていたわたしの手を、また握ってきた。