恋の扉をこじあけろ


気をよくした冬実がまだ美容情報を伝授しようと口を開いたときだった。


「すいません」


男の人の声が、わたしたちの動きを止めた。


なにごとかと思ってそちらを見ると、いかにも学生ライフを満喫していそうな、茶髪の男二人が笑顔を浮かべてわたしたちのテーブルの横に立っていた。


軽そうな雰囲気のせいなのか、ずいぶん子どものように見えた。


わたしも同じ学生だというのに。



…的井先生のせいかな?


わたしがうっかり違う世界に飛んで行こうとしたとき、二人のうちの一人が、人懐っこくわたしの手をとった。


「もしかしてヒマ?ちょっと一緒に遊ばない?」


うわあ、ナンパだ。

こんなところで?


こういうのが苦手なわたしは眉を顰めたのに対し、冬実は一瞬わたしをちらりと見たあと、笑顔で彼らを出迎えた。


「うん、ヒマー。ここに座ったら?わたしたちまだ食べてるし」


そう言って荷物をどかし、彼らに椅子を進める。


え…


冬実?