恋の扉をこじあけろ


かと言っていまさら目を瞑るのも…。


間近にある先生の顔。


目のやり場に困ってしまって、結局は目を瞑った。


歯磨きが終わったあと、口を濯いで、エプロンを唇に押し当てた。


「先生」


「なに?」


今日はこれで終わりらしい。

先生は手袋をはずしはじめた。


「みんなは目を瞑ってるんですか?」


「いろいろかな」


そう言って、スプリントを渡してくれた。


「今度は壊さないようにね」


笑った先生の笑顔を見上げながら、こくんと頷いた。


「わざわざ直してもらったんだし、二度と壊しません」


「どうかな。二週間の命だったけど」


「お、同じ誤ちは犯しませんから!」


マスクをはずした先生が、けらけら笑って、わたしは顔を熱くした。