冬実は携帯で大学病院の電話番号を調べだし、その画面をわたしにつきつけてきた。
仕事が早いこと。
冬実に逃げ道を閉ざされて、しぶしぶ携帯を手にとった。
緊張しながら震える指で番号を押したものの、発信ボタンがなかなか押せない。
「アイス溶けるよ」
結局冬実の言葉に後押しされて、やっとのことでボタンを押した。
すぐに受付の人らしい女の人が電話に出た。
「はい、大学病院口腔外科です」
「あ、あの、診察を受けてる牧原琴乃です。的井先生はいらっしゃいますか?」
「はい。ご用件は何でしょう」
ご、ご用件!?
「ええと、治療に使っていた器具を壊してしまったので、どうしたらいいか相談したいんですけど」
伝わったか心配するわたしをよそに、女の人は笑顔が思い浮かぶような明るい声でわかりました、と言ってくれた。
「壊れてしまった器具の相談ということですね。おつなぎしますので少々お待ちください」
「はい」



