恋の扉をこじあけろ



「今二つわかったことがある。牧原さんは泣き虫で、意外と強引だってね」


「んなっ」


先生の大きな手が、わたしの頭の上に乗っかった。


「俺も強くなるよ。情けないな、ほんとに」


「そんなことないです」


的井先生は、ハンカチを取り出してわたしの涙を拭ってくれた。


こういう几帳面なところも好きだ。


久しぶりの先生の優しい手つきに、また涙がでてきそうになったのを誤魔化すために、あ、そうだ!と手を打って、いそいそとリュックを降ろした。


「わたしお弁当つくってきたんですよ!一人分しかないですけど」


リュックをゴソゴソ漁って、水筒とお弁当の包みを取り出した。


たくさん歩いたから中身がぐちゃぐちゃになっていないか心配だったけど、おかずたちはわたしのために綺麗に整列してくれていた。


こうして料理のスキルが上がったのも先生のおかげ。


一年前とは比べものにならないくらい、美味しそうなお弁当が作れるようになった。