恋の扉をこじあけろ




的井先生の指が指し示すほうを見ると、そこには杖がわりにしていた大きな枝が。


ひいいっ!


「ああああ、これはっ、なんでもないです!」


こけたにも関わらずしっかりと握りしめたままだった大きな木の枝を、茂みの中にあわてて放り出した。

ガサガサッと大きな音をたてて枝は茂みの中に消えた。


ああもう、わたし何やってるんだろう。


今はこんなドジを指摘されている場合ではないのに。


「あのっ、先生…」


的井先生が逃げて行ってしまわないように、先生の手首をぎゅっと捕まえた。


先生の顔を見上げると、気まずそうに目を逸らした。


目を逸らされて、わたしの中の勇気が一気に萎んでいく。


だけど、今日を逃したら。



今、この瞬間を逃したら、わたしはきっと二度とこの言葉を言えない。



言わなくちゃ。