恋の扉をこじあけろ



降ってきた声に、一瞬息が止まった。



だって、柔らかくてちょっと低めの、この声は。


ゆっくり顔をあげると、まず太陽の眩しい光がわたしの視界を白くして、目を細めて男性の顔を見ようとした。


「あ…」


先に声を出したのは、わたしじゃなくて彼のほうだった。


逆光の中、ようやくわたしは彼の驚いた表情を捉えた。


「的井先生…?」


「……」


目の前にいるのは確かに的井先生だ。


信じられないけど、わたしが的井先生と誰かを間違えるはずがない。


的井先生は戸惑ったように目を泳がせていたけど、わたしをこのまま放り出していくわけにもいかないと思ったのか、手を差し出してくれた。