むくれながら腕を組むと、幸宏はちょっと困ったように笑ってから、すぐに真面目な顔になった。
「何か悩んでることがあるんだろ?」
「なんでそんなこと、いきなり…」
まさかそれを聞くために、こんなところに引っ張ってきたの?
わたしが、幸宏と話しているときにうっかり先生のことを思い出して暗くなったのを、幸宏は気にしていたんだ。
幸宏は一歩、わたしに近づいてきた。同時に一歩、わたしは後退する。
「俺じゃ力になれないかな」
「無理だよ」
「恋の悩みだから?」
「そうよ」
「じゃあ、なおさら話して。俺はあのときの償いをしたいんだ」
「……」
償いをしたいのは、幸宏の下心かもしれない。
だけど、その下心に縋りついて泣けば少しは楽になれるのかな。
先生への気持ちを吐きだして、幸宏の胸に抱かれながら体温を感じたら―――



