恋の扉をこじあけろ



「カラオケ行くよー!」


レストランを出て、次はカラオケ。


ゆかりの先導で、皆でカラオケに行く途中、突然腕を引っ張られた。


「琴乃、抜けようぜ」


「えっ」


一番後ろを歩いていたわたしたちは、途中で違う道に入り込んでも皆は気付かなかった。



幸宏はわたしの手をぐいぐい引っ張って、わたしを噴水公園のところまで連れて行った。



夜の闇の中、ライトアップされた噴水がさわさわと音をたてている。


街灯の下のベンチでカップルが見つめあいながら親密そうに会話を交わしているのを横目に、わたしは幸宏の手を振りほどいた。


手を振りほどかれて、幸宏ははっとしながら振り返った。


「ごめん」


「ほんとだよ。急に、引っ張るんだから」