恋の扉をこじあけろ



眩暈を起こしかけたけど、視線を感じて我に返った。


恐る恐る振り返ると、遠くで松居先生がこっちを見てにやにやしているのを見つけた。



あの野郎。

面白がっている。


治療に集中しなさいよ!


松居先生を睨みつけていると、的井先生が動く気配を感じて顔を正面に戻した。


「スプリントを預かろうかな」


はずしてきていたスプリントを的井先生に手渡すと、先生は異常がないか隅までチェックした。


「今回はなかなか持つね」


「毎回毎回、壊しません」


先生の中でのわたしの位置づけは、もしかして怪力女?


それは嫌だ。


なんとかそのイメージを拭い去ることができないものか。


わたしが悶々と考えている間に、先生はスプリントの調整を終えてしまった。


わたしにスプリントを噛ませて、具合を確かめたら今日の診察は終了。



一時間は本当にあっという間だ。