恋の扉をこじあけろ



「無理だよぅ」


「もう、意気地なし」


冬実がまた、ぐいっと麦茶を飲み干した。


お酒じゃないよね、それ?


コップをテーブルの上に置いた冬実と目が合った。


「わかったわよ。私が探りをいれといてあげるから」


クッションを抱いたまま、きょとんとする。


「探りをいれるって、どこに?」


冬実が的井先生に聞くの?


それはそれで、なんか。


「前に会ったでしょ、川崎さん。的井先生のご学友」



わたしの頭の中に、へらへらと笑う黒でまとめたスタイルのお兄さんが浮かんできた。


確か、あんみつを食べに行ったときに的井先生と一緒にいたんだっけ。


「ああ。あの人。連絡先知ってるの?」


「琴乃と的井先生が抜けたときに、連絡先交換したの」


さらりと言ってのける冬実に、わたしはいつも驚くばかり。