恋の扉をこじあけろ



火照る熱を少しでも冷ますために、羽織っていた紺色のカーディガンを脱いでから座った。


10月も終わりになると、だいぶ肌寒くなった。

病院の敷地内の木々も色がついてきている。


窓の外で木の実を啄んでいる小鳥に意識を集中させようと頑張った。


「口、開けて」


先生はいつも通りにわたしの顎の調子を確認した。

言われた通りに顎を動かしながら、とにかく目のやり場に困っていた。



だって先生のお顔が目の前に。

マスクをしていなかったら息が届いてしまいそうなほどの近さなのである。


顔は捕まえられているから背けることはできないし、目を瞑るのも、座った状態で瞑るのはなんか恥ずかしい。


葛藤しながら先生が離れるのを待った。


「はい、閉じていいよ」


離れたら離れたで寂しいんだけど。