恋の扉をこじあけろ



松居先生を睨みつけると、彼は笑いながらもグラスを差し出してきた。


「幸宏から、前に一歩進めた琴乃ちゃんに乾杯」


松居先生は、わたしの手の中のグラスにチン、と自分のグラスを合わせた。


わたしのグラスは空で、松居先生のグラスの中に入っているのはただの水だけれども。



松居先生はウェイターを呼んでくれた。


わたしのグラスがきれいな水で満たされて、氷がカランと音を立てた。

冷たくて気持いい。


「だけど松居先生、最初に会ったとき言いましたよね。おもしろいネタだって。あれはどういうことなんですか?」



このままわたしに恋を自覚させて、暴走させて、先生を蹴落とす作戦?



疑うわたしをよそに、松居先生はあっけらかんとして答えてくれた。


「おもしろいじゃないか。毎日つまらないことばっかだから、おもしろいことを探してたんだよ」