恋の扉をこじあけろ


利用、という言葉がわたしの胸に突き刺さる。


フォークの先で突かれるよりずっと痛い。



わたしは的井先生を利用しているの?


わたしは…



「君は幸宏と同じようなことしてるんだよ。恋の遊び、なんだから」


「遊びなんかじゃありません!」


店内に響いた声に、わたしは我に返った。


隣のテーブルについている老夫婦が、何事かとわたしを見上げている。


「あ…」



わたし、なんて言った?



この男の挑発に乗って、


今、


思わず口走ったのは。



松居先生はテーブルに肘をついて、にやりと笑った。


「遊びじゃないなら、それは何?」


「それは…」



すとん、と。



わたしの中で落ち着かずにぐるぐるまわっていたものが、あるべき場所に落ち着いたかのような感覚。



ひとつの答えをはっきり浮かべたとき、満足感と幸福感がサーっとわたしの体を巡った。