恋の扉をこじあけろ


しばらくして、型を置いて戻ってきた。


「牧原さんに宿題を課します」


戻ってきて開口一番、先生はわたしにそう告げた。


「えっ」


しゅ、宿題?


「さっき言ったこと、怒ってるんなら謝ります!」


「そうじゃないよ」


先生は笑いながらゴム手袋をはずした。


「1日連続30回、口を開けるように」


先生はそう言って、手本をしてみせた。

わたしも先生に倣って口を開けたり閉じたりした。


そんなことをして何になるんだろう。


と思っていたけど、すぐに理由がわかった。


「……」


10回くらいそうしたところで、わたしのアゴは疲れて開けるのがきつくなったのである。


アゴの微妙な疲労感に頬に両手をあてると、先生はくすっと笑った。


「牧原さんは顎を鍛える必要がありそうだから」


なるほど。


そういうわけね。