恋の扉をこじあけろ


いつも通りエプロンをつけて、型をとる前にわたしのアゴの状態を確認する。


「この前と変わってないね。二本くらいか」


先生は指を抜きながら、首を傾げた。


「もうこれ以上開けられない?」


「これ以上開けたらアゴがどうにかなっちゃいそうで怖いんです」


「なるほど」


先生の手がわたしの顎を捕らえた。

また少し、顔が熱くなった気がした。

もとから赤いはずだから大丈夫だきっと。


小さな焦りと闘っているわたしに、先生はとんでもないことを言った。


「ちょっと、頑張って開けてみてよ」


「え、無理。怖いって言ったじゃないですか」


「顎がはずれちゃったらちゃんと戻してあげるから」


「恐ろしいこと、言わないでください…!」


アゴがはずれるなんて。

考えるだけで肝が冷えるよ…!